中国から帰ってきた人のブログ。
中国から帰国した後の生活をつづるブログ。読書、映画、音楽、日々のできごと等々記録していきます。
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東京に行った時に、100円で買ったこの本。
井上靖の『西域物語』。
中国の西側に広がる「西域」と呼ばれる地域を著者が旅し、各地の歴史や物語を絡めてまとめたエッセイ集。
「西域」は現代では中央アジアの総称とも言われるが、
もとは中国の古代の史書が、中国西方の異民族が住んでいる地域をなんとなくひっくるめて呼んだものらしい。
だから昔の中国の「西域」には、インドもペルシャも入っている。
中国の西方、ロシアの南側、インドの北側を私は地図で見ては見るものの、すぐに頭がこんがらがってしまう。
聞きなれない地名と民族が入り乱れ、地理的にもはっきり頭にはいらず、
本書を読んでいても出てくる地名に惑わされて何のことやら分からなくなってくる。
そこで本書に挟まっていた地図と見比べてページをめくってみる。
地図に小さく書かれた地名と文章を見合せてみると、文章が視覚的になって目の前に広がる。
紀元前の時代を生きる人達が、何万キロもの道のりを越えて東西に交易する姿がよりリアルに迫ってくるのだ。
ところが、良く見てみるとこの地図は本書に元々付属していたものではないようだ。
どうも、何か別の資料からコピーしてきたものらしい。
その上ご丁寧に、「西域要図」(一番上側の地図)には交通路が赤色で辿られて、湖は青く塗られているのだ。
東京で購入したこの古本、以前はどんな人が所有していたのかなと想像してみる。
これだけ熱心に地図を印刷して、赤線で辿ってしまうほどなのだから、西域に特別興味を持っていた人なのだろうか。
でもそれほどのものをどうして手放してしまったのか。
もしかしたら、故人の遺物の可能性だってある。
そういうのが嫌だという人もいるけれど、私はこの本が巡り巡ってうちへやってきた事が不思議だなあと思う。
人間死んだら何も持っては行けない。
けれど、こうして自分が生きた事をモノや何かに残すことができる。
西域へ興味を持っていた人の遺物が、同様に関心を持つ私の手元にやってきたことの奇縁。
見知らぬ誰かに自分の知識を伝えることができたという偶然。
まあ、これは全部私の妄想なのだけど、そう考えてみるとちょっと楽しいですよね。
そんな事を書いている間に明日は卒業式です。
色々と人間関係的にはもやもやを残しての卒業でもあります。
それでも、5年目の後期は本当に楽しかった。大学に入って学ぶ楽しさを感じることができた5年目でした。
一応京都には残るので、これからも大学図書館に通う等、それらを忘れずに息抜きにしていこうと思っているのでした。
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